円高・円安 1ドル=75円は本当に円高なのか?
伊藤元重(東京大学大学院教授、NIRA理事長) 特別講義
物価が上昇した分、ドルの価値は下がっている
2011年3月の震災後、円ドルレートは戦後の歴史上もっとも円高である1ドル=75円台までいった。
円高で輸出業界は大変厳しい状況に追い込まれている。
日本経済の実態に合わない厳しい円高の状況は理解ができないと産業界は声を上げた。
しかし、この議論には少し怪しいところがある。私は日頃、授業でこう言っている。
「素人は為替レートを名目で語る。しかし、国際金融について少しでも学んだら、為替レートを実質で語らなければいけない」と。日本の為替レートについて考える上でも、この点が重要となる。
1995年、円ドルレートは1ドル=80円を切った。
当時としては歴史的な円高となった。
そして2011年10月、1ドルは75円台となった。
しかし、2011年の75円は、1995年の80円より円高ではない。
この15年ほどの間に、日本の物価はほとんど変化していない。それは、この間にデフレの時期が長かったことがある。
これに対して、米国の物価はこの間におおよそ40%も上昇している。
この物価の変化は、為替レートとどう関わっているのだろうか。
もし米国の物価が40%も上昇しているのなら、それだけドルの価値は下がっていることになる。
ドルの価値とは、1ドルで購入できる商品ぐらいに考えればよいだろう。
だから、円ドルレートが40%円高になって、それでやっと円とドルの実質的な価値は同じになるのだ。
この15年の間に米国では物価も貸金も40%前後上昇している。
だから、為替レートが80円から75円にしか上昇していないのであれば、今のほうが実質的には円安ということになる。
実は1995年のほうがずっと円高だった
物価や賃金の上昇を考えれば、1995年のほうがはるかに円高だったということです。
そうなのかなー
みんなのバイナリーでfxバイナリーに挑戦しているなら経済の情報にもつよくならないと・・・
2012-10-17 05:02
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